タハール・ベン・ジェルーン『嘘つきジュネ』
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タハール・ベン・ジェルーン『嘘つきジュネ』

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送料小社負担、消費税なしでお買い求めいただけます(在庫数に達した時点で終了)。 ----------------------------------------------------------- タハール・ベン・ジェルーン 著 岑村傑 訳 四六判上製 286頁 ISBN978-4-900997-69-1 装幀:間村俊一 写真:港千尋 不意にかかってきたジュネからの電話。1974年5月5日午前、フェズに生まれたモロッコの新進作家、タハール・ベン・ジェルーンはジュネに呼びだされ、以降最晩年のジュネと、無比の関係を続けることになる。フランス人の人種主義、フランスの植民地主義を徹底して告発し、パレスチナに寄り添うジュネ。サルトル、フーコー、バルト、デリダ、ジャコメッティ、アブデルケビル・ハティビ、ゴイティソーロ、ボウルズ、……そしてアブドッラー、ジャッキー、ムハンマド・エル・カタラーニー、ライラ・シャヒード。幾多の人物像を点綴しながら描かれる、ジュネ最晩年の時間。 本書は、『恋する虜』を書き継ぐジュネの最晩年を間近にまた距離を置いて併走した、ゴンクール賞作家・ゴンクール賞選考委員TBJによる、味わい深い回想録であり、エドマンド・ホワイト『ジュネ伝』を補完する貴重な証言を含むドキュメントであり、憤り、挑発し、消沈し、沈黙するジュネの声、「白く光り輝く」ジュネの声が全篇から立ちのぼる、出色の文学作品である。1979年11月11日付『ル・モンド』掲載のジュネとベン・ジェルーンの対話の既出削除版(『公然たる敵』所収)の完全版初収録。 わたしたちは、わたしがほかの友人関係ではけして知ることのない仕方で結びついていた。ジュネはおのずから特別な存在だった。わたしの賛美は控え目で、ときに揺らいだ。[…]彼はフランスにおける最後の「参加する」(アンガジェ)知識人だったのだろう。今日のフランスを見わたすとき、そのような人物は姿を消してしまっている。この国にはひとりのジュネが、ひとりのフーコーが、ひとりのクロード・モーリヤックが、義憤をたぎらせることを知り、その怒りを爆発させる場所を選ぶことをしない人間たちが、欠けている。サルトルは参加する人間で、そのために尊敬され、またいくつかの過ちを犯して槍玉にあげられた。ジュネは「アジテーター」であり、メディアが耳を塞いでいるときでも自分の伝えたいことを伝える才能をもつ役者だった。彼には失うものは何もなかった。[…]わたしが彼のそばで学んだのは、社会は斜めの角度から見なければならず、正面からじかに向きあうことも、同じ方向を向くようなことも禁物だということだった。バルトが「迂回」と呼ぶものを、ジュネはむしろ「対角線」と呼んでいる。世界を斜めに走る対角線だ。[…]その教えはわたしの力となったし、いまもまだ力を与えてくれている。(本文より) 目次 声 運び屋 政治 タンジール 弟子 アリ・ベイ袋小路 アブデルケビル・ハティビ 聖ジュネ? ジュシューのジュネ 人種主義 恩義 ライラ ムハンマド 夜が来て ジャコメッティ 暴力と蛮行 ブーグリオーヌの部屋 同性愛 ホメイニ 腫瘍 ポワロ=デルペシュ パレスチナについての会話 サブラとシャティーラ 告発されるジュネ デリダ デュマ ナルシシズム アブドッラー ジャッキー 書くこと 恩人たち 導師マ・エル・アイニーン 謎 性愛 一貫せず サルトルの死 疑問 最後の年 最後のページ 「ジャン・ジュネ死去」 夢 ジャンへの手紙 対話と記事 フランスの移民についてのジャン・ジュネとタハール・ベン・ジェルーンの対話 『ル・モンド』 愛の唄 『ル・モンド』 御しがたき人、ジャン・ジュネ 『ラ・レプッブリカ』 訳者あとがき 著者 Tahar Ben Jelloun(タハール・ベン・ジェルーン) 1944年モロッコ,フェズに生まれる.詩人,小説家.1973年小説第一作Harroudaを刊行.1987年La Nuit sacrée(『聖なる夜』)でゴンクール賞.2008年よりAcadémie Goncourtの会員としてゴンクール賞の選考にも携わっている. ノンフィクションを含む主な作品に,Moha le fou, Moha le sage (1978,『気狂いモハ、賢人モハ』澤田直訳,現代企画室),La Prière de l’absent (1981,『不在者の祈り』文学の冒険,石川清子訳,国書刊行会),Hospitalité française(1984,『歓迎されない人々─フランスのアラブ人』高橋治男・相磯佳正訳,晶文社),L’Enfant de sable(1985,『砂の子ども』),La Nuit sacrée (1987,『聖なる夜』いずれも菊地有子訳,紀伊國屋書店),Jour de silence à Tanger (1990),Le Racisme expliqué à ma fille (1997,『娘に語る人種差別』松葉祥一訳,青土社),Partir(2006,『出てゆく』香川由利子訳,早川書房),Beckett et Genet, un thé à Tanger(2010),Par le feu(2011,『火によって』岡真理訳,以文社)ほか. 訳者 岑村傑(Minemura, Suguru) 1967年生まれ.東京都立大学大学院を経て,パリ第4大学文学博士.慶應義塾大学文学部教授.専門は,ジャン・ジュネを中心に,19世紀後半から20世紀前半のフランス文学.著書に『フランス現代作家と絵画』(共編著,水声社,2009年),Dictionnaire Jean Genet(共著,Honoré Champion,2014年)ほか.訳書にジュネ『公然たる敵』(共訳,月曜社,2011年),クルティーヌ編『男らしさの歴史III』(共訳,藤原書店,2017年)ほかがある.