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川瀬慈 著
四六変型判並製 118頁
ISBN978-4-900997-89-9
ブックデザイン:井川祥子 装画:久保田沙耶
アジスアベバ、伊江島、読谷村、直島、吹田、フランクフルト、マンチェスター……、ストリートから、街の片隅から、森の奥から、悲惨を刻む世界の底から、言葉が、祈りが立ち上がる、川瀬慈第一詩集。映像人類学者による詩的感応による世界の創造。
惑星のまわりをぐるぐると運行し続ける衛星は、惑星のことを思慕しつつも惑星に到達することはない。叡智の鳥は母なる大地を想いつつ、それに触れることも着地することも許されず、歓びと哀しみの歌を歌いながら、はてしなく世界を周遊し続ける。しかしその飛行の軌跡には様々な物語がおのずと胚胎し、また新たな世界を芽吹かせていく。この鳥の果てしない旅を想う。
ここ数年のあいだに、様々な土地を歩き、それらの土地に突き動かされるように、詩や物語の類を吐き出してきた。それらを無造作に束ねてみたら、少し不格好かもしれないが、小さな花束になった。この束をそっとあなたに手渡すとしようか。花束はあなたの手をするりとすべって、鳥となって大空を舞うことになるだろう。(「あとがき」より)