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中谷礼仁『未来のコミューン──家、家族、共存のかたち』

3,520円

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送料小社負担。 ----------------------------------------------------------- 四六判上製 320頁 ISBN978-4-900997-73-8 装幀:間村俊一 装画:大鹿智子 独自の回路から放つ新たな社会思想! 新たな共同性へ。家=人間と社会を調停する器、はいかに可能か。歴史を貫く共存の条件を探り、時空間を踏破して摑まれた経験知からその先のヴィジョンへと至る渾身の思考。 民俗学者・柳田国男が描いた家の事件をプロローグに、初源的な家の構成があらゆる住居に現れるプロセスを解明し、さらに近代的設備に内在する家の新たな神話体系を描いた原論である第一部。建築家アドルフ・ロースの装飾−身体制度論に端を発し、近代住宅デザインに込められた文明的課題を解剖、摘出した展開編の第二部。その後半から第三部にかけて、資本主義下における人間の労働と自発的活動との桎梏に目を向け、近代的共同体にまつわるめくるめくプロファイリングが始まる。共同体への希求がディストピアを招く近未来小説、アメリカの宗教的コミューンが巻き起こした事件の意味解明、1960年代末に精神医学者R・D・レインらが実践した反治療組織・キングズレイ・ホールの実証的復原とその批判。本書最終部では、病を社会との不適合による移行的状態ととらえ、病が持つ社会への働きかけの可能性を逆に検討する。「病」の共同の場としての家の再創造を検討し、その思考は新たな社会のヴィジョンを示唆するに至る。エピローグではコミュニティ・ホーム「べてぶくろ」での共同的家改修の試みに日常での確かな希望が託される。今和次郎、エンゲルス、シェーカー教、アーレント、クリストファー・アレグザンダーらを導きの糸に、著者の年来の営みが総括され、徹底した思考を家に向かってたたみかけた話題作。 「家、社会がそれぞれに含む要素の境界は注意深く再定義しうる。なによりも自らが望むべき両者の平衡状態に向けて、かたちとコンテクスト[クリストファー・アレクザンダー]の閾をほぐし、あきらめずに境界線を見いだし、再び集合し、新しく空間を確保すること。これが未知の、そして未来のコミューンである。」(本文より) 目次 プロローグ─家の口 第一部 家の構成 1 化モノの家 2 レンガを積む者─神の子の家 3 パイピング建築論─家を貫く聖と俗について 第二部 近代家族 4 装飾と原罪─イチジクの葉っぱ建築論 5 近代家族 第三部 未来のコミューン 6 大地をふり払うこと 7 家─コンテクストを動かすかたち エピローグ─庭へとつづく小径 註 参照文献 図版出典 あとがき 謝辞 初出一覧 索引 著者 中谷礼仁(Nakatani, Norihito) 1965年、東京生れ。建築史。早稲田大学創造理工学部建築学科教授。1987年早稲田大学理学部建築学科卒業、大阪市立大学建築学科を経て2007年より早稲田大学創造理工学部建築学科准教授。2012年より現職。2010—2011年日本建築学会発行『建築雑誌』編集長。近世大工書研究、数寄屋・茶室研究の後、都市の先行形態の研究、今和次郎が訪れた民家を再訪しその変容を記録する活動を経て、現在長期持続集落研究・千年村プロジェクトを展開・継続中。2013年にはユーラシアプレートの境界上の居住・文明調査でアジア、地中海、アフリカ各地を巡歴。建築設計も手がける。 [著訳書] 『動く大地、住まいのかたち─プレート境界を旅する』(岩波書店、2017。2018年日本建築学会著作賞受賞) 『実況近代建築史講義』(LIXIL出版、2017年) 『今和次郎「日本の民家」再訪』(瀝青会名義。平凡社、2012年。2013年日本生活学会今和次郎賞、同年第一回日本建築学会著作賞受賞) 『セヴェラルネス+─事物連鎖と都市・建築・人間』(鹿島出版会、2011年) 『近世建築論集』(アセテート、2004年) 『幕末・明治期規矩術の展開過程の研究』(早稲田大学博士論文、私家版、1998年) 『国学・明治・建築家』(蘭亭社、1993年) ジョージ・クブラー『時のかたち─事物の歴史をめぐって』(共訳、SD選書、鹿島出版会、2018)他。

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